不動産所有権移転登記にかかる特別事業税

 不動産所有権移転登記時にかかる登記関連費用のひとつに特別事業税があります。不動産事業を営んでいるわけではないのになぜ特別事業税が課税されるのかという質問をいただくことが多いため、その法的根拠について解説します。

特別事業税とは

 特別事業税は以下の事業に対して課税される税金となりますが(国税法第91/2条)、不動産所有権移転登記において特別事業税が課税されるのは下記6に基づきます。

  1. 商業銀行業
  2. 金融業、証券業、クレジットフォンシエ業
  3. 生命保険業
  4. 質業
  5. 商業銀行に類する事業
  6. 商業または利益獲得を目的とする不動産販売
  7. 証券販売
  8. 勅令に定めるその他の事業

商業または利益獲得を目的とする不動産販売とは

 「商業または利益獲得を目的とする不動産販売」とは何かについては「1998年(仏暦2541年)商業または利益獲得を目的とする不動産販売に関する勅令(第342版)」で以下の通り定められています。

  1. 土地分譲許可を得た者の不動産販売
  2. コンドミニアム事業者のコンドミニアム販売
  3. 販売を目的に建設された建物および土地の販売
  4. 上記1〜3に該当しない不動産販売(道路、その他のインフラ整備を伴う分割販売または販売を目的とする分割)
  5. 法人税の納税義務を有する株式会社または持分会社、政府機関、協同組合、法律が法人と定めるその他の団体の事業を目的として保有する不動産の販売
  6. 上記1〜5に該当しない、不動産所有後5年以内に行う不動産販売

 以上より、不動産事業を事業目的としない法人が不動産販売に場合において特別事業税の課税対象となるのは上記5、個人が特別事業税の課税対象となるのは上記6に基づきます。

特別事業税の課税対象外

 ただし、上記6「上記1〜5に該当しない、不動産所有後5年以内に行う不動産販売」のうち、以下に該当するものは特別事業税の課税対象外となります。

  1. 不動産収用法に基づく販売または収用
  2. 相続により取得した不動産の販売
  3. 取得から1年以上タビアンバーンに氏名の記載のある、主たる居住用不動産の販売
  4. 自己の嫡出子(養子を除く)に対する対価のない所有権または占有権の譲渡
  5. 法定相続人または法定相続人である受遺者に対する相続による所有権または占有権の譲渡
  6. 行政機関または政府機関に対する対価のない所有権または占有権の譲渡
  7. 行政機関または政府機関との所有権または占有権の交換(ただし、当該交換不動産の他に対価のない場合のみとする)

「販売」の定義

 国税法第91/1条で「販売」とは「販売、買戻権付き販売、交換、贈与、割賦販売、処分の契約を含み、対価の有無を問わない」と定義されています。つまり、無償譲渡であったとしても要件を満たせば特別事業税が課税されることになります。