同性婚合法化の2024年改正民商法、25年1月22日施行

 同性婚を合法化する2024年改正民商法(第24版)が2024年9月24日、官報に告示されました。施行日は官報告示日から120日経過後となりますので、2025年1月22日が施行日となります。

 同改正民商法が施行されれば、タイは台湾、ネパールに次いでアジアで3カ国目に同性婚が合法化された国となります。

 なお、今民商法改正に伴う関連法令の改正案は改正民商法施行後180以内に閣議に提出する必要がありますので、来年上半期には関連法令の整備が進められる予定です。

主な改正点

 今回の民商法改正は全74条にわたって改正されました。そのほとんどは用語の修正ですが、主な改正点は以下の通りです。

  • 婚姻を男女間に限定せず、人(または者)と人の間とし、同性婚を合法化する
  • 夫、妻、夫婦 → 婚姻当事者(または配偶者)
  • 男、女、男女 → 人(または者)、両者、婚約申込者・婚約応諾者(婚約の場合)
  • 婚約および婚姻の年齢を満18歳以上とする(現行は満17歳)

 今改正により同性間の婚姻においても他の法律に別の定めのある場合を除き、男女間同様の権利義務が付与されることになります(例=相続、養子縁組、社会保険等の受給権、所得税の配偶者控除、配偶者に対する医療行為への同意等)。

改正条文(抜粋)

 改正条文のうち主なものを以下に抜粋します。

改正条文
第1435条第1項(婚約開始年齢)婚約は男および女が満17歳に達したときに行うことができる。婚約は両者が満18歳に達したときに行うことができる。
第1437条(婚約の成立)婚約は男側が女と婚姻することの証明として婚約品である財産を女に引き渡す、または譲渡することで成立する。
婚約成立後、婚約品は女の権利に帰す。
結納財産は女の婚姻承諾に対する返礼として男側が女側の両親、養親、親権者に対して引き渡す財産である。女に生じた重大な事由または女側が責任を負うべき行為により男が女と婚姻できなかった場合、男側は結納財産の返還を請求することができる。
本節に定める婚約品または結納財産を返還する場合、当法第412条から第418条に定める不当利得に関する条文を準用する。
婚約は婚約申込者側が婚約応諾者と婚姻することの証明として婚約品である財産を婚約応諾者に引き渡す、または譲渡することで成立する。
婚約成立後、婚約品は婚約応諾者の権利に帰す。
結納財産は婚約応諾者の婚姻承諾に対する返礼として婚約申込者側が婚約応諾者側の両親、養親、親権者に対して引き渡す財産である。婚約応諾者に生じた重大な事由または婚約応諾者側が責任を負うべき行為により婚約申込者婚約応諾者と婚姻できなかった場合、婚約申込者は結納財産の返還を請求することができる。
本節に定める婚約品または結納財産を返還する場合、本法第412条から第418条に定める不当利得に関する条文を準用する。
第1445条(婚約者による第三者との性的関係を理由とする婚約破棄および慰謝料請求)婚約当事者の男または女は、自己の婚約者と性的関係をもった者が当該婚約を知る、または知り得る場合、第1442条または第1443条に基づいて婚約契約を破棄したとき、その者に対して慰謝料を請求することができる。婚約当事者の一方は、自己の婚約者と性的関係をもった者、またはその者もしくは自己の婚約者の求めに応じて自己の婚約者と行為をもった者が当該婚約を知る、または知り得る場合、第1442条または第1443条に基づいて婚約契約を破棄したとき、その者に対して慰謝料を請求することができる。
第1448条(婚姻開始年齢)婚姻は男および女が満17歳に達したときにすることができる。だたし、相当な事由のある場合、裁判所は当該年齢前の婚姻を許可することができる。婚姻は両者が満18歳に達したときにすることができる。だたし、相当な事由のある場合、裁判所は当該年齢前の婚姻を許可することができる。
第1450条(近親者間の婚姻の禁止)直系血族、両親の双方またはいずれかが同じ兄弟姉妹の関係にある男と女は婚姻をすることができない。当該親族関係は血統に基づき、法律に基づくか否かを問わない。直系血族、両親の双方またはいずれかが同じ兄弟姉妹の関係にある両者は婚姻をすることができない。当該親族関係は血統に基づき、法律に基づくか否かを問わない。
第1452条(重婚の禁止)男または女は自己に配偶者のあるとき、婚姻をすることができない。は自己に配偶者のあるとき、婚姻をすることができない。
第1453条(再婚の要件)夫が死亡、またはその他の事由により婚姻が終了した女は、婚姻終了から310日を経過した場合に再婚することができる。ただし、以下の場合を除く。
(1)当該期間に出産した場合
(2)同一の配偶者と婚姻する場合
(3)妊娠していないことを証明する医師の診断書がある場合
(4)婚姻を許可する裁判所の命令がある場合
男の配偶者が死亡、またはその他の事由により婚姻が終了した女は、婚姻終了から310日を経過した場合に男と再婚することができる。ただし、以下の場合を除く。
(1)当該期間に出産した場合
(2)同一の配偶者と婚姻する場合
(3)妊娠していないことを証明する医師の診断書がある場合
(4)婚姻を許可する裁判所の命令がある場合
第1458条(婚姻の成立要件)婚姻は男女が夫婦となることに同意し、登記官の面前で当該同意を表明し、登記官が当該同意を記録したときにすることができる。婚姻は両者婚姻当事者となることに同意し、登記官の面前で当該同意を表明し、登記官が当該同意を記録したときにすることができる。
第1504条第2項(取り消し得る婚姻に対する婚姻有効の要件)裁判所が婚姻の取り消しを命じず男女が第1448条に定める年齢に達したとき、または第1448条に定める年齢に達する前に女が妊娠したとき、婚姻は当初から有効なものとみなす。裁判所が婚姻の取り消しを命じず両者が第1448条に定める年齢に達したとき、または男女間の婚姻において第1448条に定める年齢に達する前に女が妊娠したとき、婚姻は当初から有効なものとみなす。
第1510条第2項(取り消し得る婚姻に対する取り消し権の停止要件)本条に定める婚姻取り消しの権利は、婚姻当事者が満20歳に達した、または女が妊娠したときに停止する。本条に定める婚姻取り消しの権利は、婚姻当事者が満20歳に達したとき、または男女間の婚姻において女が妊娠したときに停止する。
第1516条(離婚の訴えの事由)次の事由に該当するとき、相手方は離婚の訴えを提起できる。
(1)夫または妻が他の者を妻または夫として扶養または取り扱ったとき、または継続して他の者と不貞行為があったとき
(2)夫または妻が悪意の行為をすることにより(刑法に違反するか否かを問わず)、相手方が次のいずれかに該当したとき
(ア)重大な不名誉を受けたとき
(イ)悪意の行為をした者と夫婦であることにより侮辱を受けたとき
(ウ)夫婦としての状態、立場、生活を考慮した際に限度を超えて損害または困難を受けたとき
(3)夫または妻が相手方または相手方の直系尊属の身体または精神に対して暴行、攻撃、名誉毀損、侮辱をし、当該行為が重大なとき
(4)夫または妻が相手方を1年以上遺棄したとき
(4/1)夫または妻が裁判所から1年以上の懲役刑の最終判決を受けて服役し、相手方が当該犯罪に関して関与、同意、認知していない場合において、夫婦であることにより相手方が限度を超えて損害または困難を受けたとき
(4/2)夫婦が合意により3年以上別居、または裁判所の命令により3年以上別居したとき
(5)夫または妻が裁判所から失踪宣告をうけたとき、または3年以上本籍地もしくは居住地から失踪し生死が不明のとき
(6)夫または妻が相手方に対して必要な援助もしくは扶養をしない、または夫婦であることに対して極度に敵対的であることにより、夫婦としての状態、立場、生活を考慮した際に相手方が限度を超えて困難を受けたとき
(7)夫または妻が3年以上精神疾患となり、かつ回復の見込みがなく、夫婦を継続できない程度であるとき
(8)夫または妻が書面で交わした行いに関する取り決めに違反したとき
(9)夫または妻が強度の伝染病に罹患し、相手方に危険が及ぶ可能性があり、かつ回復の見込みがないとき
(10)夫または妻が生涯にわたって性行為ができない身体的状態にあるとき
次の事由に該当するとき、相手方は離婚の訴えを提起できる。
(1)婚姻当事者のいずれかが他の者を婚姻当事者として扶養または取り扱ったとき、継続して他の者と不貞行為があったとき、自己または他の者の求めに応じて継続して他の者と行為をもった、または他の者との行為に応じたとき
(2)婚姻当事者のいずれかが悪意の行為をすることにより(刑法に違反するか否かを問わず)、相手方が次のいずれかに該当したとき
(ア)重大な不名誉を受けたとき
(イ)悪意の行為をした者と婚姻当事者であることにより侮辱を受けたとき
(ウ)婚姻当事者としての状態、立場、生活を考慮した際に限度を超えて損害または困難を受けたとき
(3)婚姻当事者のいずれかが相手方または相手方の直系尊属の身体または精神に対して暴行、攻撃、名誉毀損、侮辱をし、当該行為が重大なとき
(4)婚姻当事者のいずれかが相手方を1年以上遺棄したとき
(4/1)婚姻当事者のいずれかが裁判所から1年以上の懲役刑の最終判決を受けて服役し、相手方が当該犯罪に関して関与、同意、認知していない場合において、婚姻当事者であることにより相手方が限度を超えて損害または困難を受けたとき
(4/2)婚姻当事者が合意により3年以上別居、または裁判所の命令により3年以上別居したとき
(5)婚姻当事者のいずれかが裁判所から失踪宣告をうけたとき、または3年以上本籍地もしくは居住地から失踪し生死が不明のとき
(6)婚姻当事者のいずれかが相手方に対して必要な援助もしくは扶養をしない、または夫婦であることに対して極度に敵対的であることにより、夫婦としての状態、立場、生活を考慮した際に相手方が限度を超えて困難を受けたとき
(7)婚姻当事者のいずれかが3年以上精神疾患となり、かつ回復の見込みがなく、婚姻関係を継続できない程度であるとき
(8)婚姻当事者のいずれかが書面で交わした行いに関する取り決めに違反したとき
(9)婚姻当事者のいずれかが強度の伝染病に罹患し、相手方に危険が及ぶ可能性があり、かつ回復の見込みがないとき
(10)婚姻当事者のいずれかが生涯にわたって性行為ができない、または相手方の求めに応じて行為をもつ、もしくは行為に応じることができない身体的状態にあるとき
第1536条第1項(嫡出子の推定)夫婦関係にあるとき、または離婚が成立した日から310日以内にに女から生まれた子は、夫である男または夫であった男の嫡出子と推定する。男と婚姻関係にあるとき、または離婚が成立した日から310日以内に女から生まれた子は、配偶者である男または配偶者であった男の嫡出子と推定する。
2024年改正民商法(第24版)から抜粋