【会社設立時の必須事項】
タイで会社設立(非公開株式会社)をするには以下の事項を事前に決めておく必要があります。
会社名(商号) | 英語およびタイ語での表記を予約し、重複がなければ予約が完了します。1カ月間、有効ですので、その間に会社設立登記の手続きを始める必要があります。 |
発起人 | 3名以上 |
資本金 | 日本人がビザ・労働許可証を取得するためには1名につき200万バーツが必要になりますので、人数にあわせて資本金額を決めたほうがよいでしょう。 |
株主 | 3名以上 |
取締役 | 人数制限なし。1名でも可。 |
サイン権 | 取締役のうち誰が会社の代表してサインをするのかを決めておきます。 1名のみ、複数のサイン権者を定め、そのうち1名ないしは複数のサインが必要とする形式、複数のサイン権者の連名でのサインが必要な形式、等があります。 |
事業目的 | 一般的な事業目的を記した雛形(21項目の事業を記載)に自らが営む予定の事業を追加で記載する形が一般的です。 税務登記ともからんできますので、慎重に決めましょう。 |
住所地 | 会社登記、税務登記に必須。税務登記には賃貸借契約書も必要となります。 |
【会社重要書類】
以下は基本的な会社重要書類です。日本語に翻訳して保管しておいたほうがよいでしょう。
基本定款 | Memorandum of Association(MOA) 会社登記時に必要になります。 社名、資本金額、発起人などが記載されます。 |
付属定款 | Articles of Association(AOA) 会社登記時に必要になります。 株主、取締役、株主総会、決算期、配当金等を定めますので、会社運営上で必須と思われる事項は事前に記載しておく必要があります。 |
会社登記簿謄本 | 社名、取締役、サイン権者、資本金、会社住所、事業目的が記載されています。 会社を証明するものとしてあらゆるケースで求められるもので、場合によって有効期限3カ月、6カ月という要件があるため、定期的に商務省から取得しておく必要があります。 通常は謄本をコピーしてサイン権者のサインおよび会社印の押印でコピーが原本と相違ないことを証明します。 |
株主名簿 | 株主名を記載したもので、場合によっては会社を証明する際に会社登記簿謄本に加えて要求される場合もあります。 BO O JO 5(ボー・オー・ジョー5)と呼ばれています。 |
【法人登記番号】
13桁の数字で構成され、納税番号(TAX ID)と同じ番号です。以前は違っていましたが、現在は一本化されました。
インボイスにはこの法人登記番号(=納税番号)と発行元が本店か支店かの分類を記載します。請求先企業の法人登記番号および本店か支店の分類も記載する必要がありますので、事前に確認しておく必要があります。
ちなみに本店の場合は、Head Officeまたは00000(ゼロ5桁)と記載します。
【税務申告】
基本的な税金の種類は下記の通りです。タイの場合、毎月申告する必要のある税金がありますので、手間がかかります。
Por Ngor Dor 1 | 社員に支払った給与にかかる個人所得税の源泉徴収申告書。 毎月7日までに納税。 |
Por Ngor Dor 3 | 個人に対して支払ったサービス費用等にかかる源泉税の源泉徴収申告書。 毎月7日までに納税。 |
Por Ngor Dor 53 | 法人に対して支払ったサービス費用等にかかる源泉税の源泉徴収申告書。 毎月7日までに納税。 サービスは3%、広告は2%など。 |
Por Por 30 | 付加価値税(VAT)の申告書。国内取引用。 毎月15日までに納税。 |
Por Por 36 | 付加価値税(VAT)の申告書。国外取引用。 毎月7日までに納税。 |
Por Ngor Dor 51 | 中間決算の申告書。 半期の決算日から60月以内に申告。 |
Por Ngor Dor 50 | 年次決算の申告書。 期末決算日から150日以内に申告。 |
Por Ngor Dor 91 | 給与所得者の確定申告書。 3月末までに申告。 給与以外の所得がある場合はPor Ngor Dor 90。 |
【法人税】
これまで時限措置であった法人税の20%(本来は30%)が恒久化されることになりました(2015年10月13日に閣議決定)。来年1月1日以降に開始する決算期から適用予定です。国家立法議会での審議を経て施行されることになります。
一方、中小企業(資本金500万バーツ以下、かつ商品販売およびサービス提供による売上が3000万バーツ以下の法人)に対しては軽減措置が適用されてきましたが、さらに拡充されることになりました(同上)。
純利益30万バーツ超は10%。適用期間は2015年1月1日から2016年12月31日の間に開始する2決算期。3期目以降は、純利益30万バーツ超〜300万バーツが15%、300万バーツ超は20%。
【個人所得税】
個人所得税率表(2017年度)
課税所得金額 | 段階ごとの 課税対象金額 | 所得税率(%) | 所得税額 | 合計 |
1〜150,000 | 150,000 | 0 | ||
150,001〜300,000 | 150,000 | 5 | 7,500 | 7,500 |
300,001〜500,000 | 200,000 | 10 | 20,000 | 27,500 |
500,001〜750,000 | 250,000 | 15 | 37,500 | 65,000 |
750,001〜1,000,000 | 250,000 | 20 | 50,000 | 115,000 |
1,000,001〜2,000,000 | 1,000,000 | 25 | 250,000 | 365,000 |
2,000,001〜5,000,000 | 3,000,000 | 30 | 900,000 | 1,265,000 |
5,000,001以上 | 35 |
(出典)国税局ウェブサイト
労働者保護法の概要は以下の通りです。
[雇用について]
雇用契約
- 雇用契約は書面での締結が法律で義務付けられていないが(口頭でもOK)、トラブルを避けるためにも書面で締結すべきである。労使双方の言い分に違いが生じ、裁判で争うケースも多い。
就業規則
- 労働者を10人以上雇用する場合、タイ語の就業規則を作成する義務がある(第108条)。
- 就業規則の記載事項は以下の通り。
(1)労働日、通常の勤務時間、休憩時間
(2)休日および休日に関するルール
(3)時間外労働、休日労働に関するルール
(4)賃金、時間外労働手当、休日労働手当、休日時間外労働手当の支払日および支払い場所
(5)休暇および休暇に関するルール
(6)規律と罰則
(7)苦情の申し立て
(8)解雇、解雇補償金、特別解雇補償金 - 雇用主は労働者が10人に達した日から15日以内に就業規則を施行しなければならない。労働省への届け出は廃止となった(2017年改正法第6版)。
- 就業規則は事業所において公開・掲示し、労働者が閲覧できるようにしなければならない。また、電磁的方法による開示も可能となった(2017年改正法第6版)。
従業員名簿
- 労働者が10人に達した場合、従業員名簿を作成し、事業所に保管しなければならない(第112条)。
- 従業員名簿の記載事項は以下の通り。
(1)氏名
(2)性別
(3)国籍
(4)生年月日および年齢
(5)現住所
(6)雇用開始年月日
(7)役職または職務
(8)賃金等
(9)雇用終了日 - 労働者の退職日から2年間の保管義務がある。
賃金台帳
- 労働者が10人に達した場合、賃金台帳を作成しなければならない(第114条)。
- 賃金台帳の記載事項は以下の通り。
(1)労働日および労働時間
(2)出来高払いの労働者の出来高
(3)各労働者の賃金、時間外労働手当、休日労働手当、休日時間外労働手当の率および額
賃金支払い日から2年間の保管義務がある。
[労働条件について]
勤務
- 勤務時間は1日8時間、1週間48時間以内とする(第23条)。
- 連続して5時間以上労働する場合、1時間以上の休憩時間を与えなければならない(第27条)。
- 休日は1週間に1日以上与えなければならない。また、休日と休日の間隔は6日以内とする(第28条)。
休日・休暇
- 祝日はメーデーを含めて年間13日以上(第29条)。
- 有給休暇は勤続満1年で6日以上を支給。翌年以降も同様(第30条第1、2項)。
- 未消化の有給休暇は次年度に持ち越しが可能(第30条第3項)。
- 傷病休暇は年間30日まで有給(第57条第1項)。3労働日以上傷病休暇を取得する場合、医師の診断書の提出を求めることができる(第32条)。
- 2019年改正法第7版により出産休暇は休日を含む98日までとなった(改正前は90日)。ただし、有給は45日まで。出産休暇には出産前の妊婦健診を含む。使用者は妊娠を理由に解雇できない(第41条、第43条、第59条)。
- 避妊手術休暇は医師が診断書で必要と認めた期間を有給とする(第33条、第57条第2項)。
- 兵役休暇は年間60日まで有給(第35条、第58条)。
- 2019年改正法第7版により必要不可避な用事休暇は年3日まで有給となった(第34条、第57/1条)。
- その他、研修休暇(第36条)がある。
時間外労働手当等
- 時間外労働に対しては通常の1.5倍以上の手当を支払う(第61条)。
- 休日労働に対しては通常の2倍の給与以上を支払う(第62条)。
- 休日時間外労働に対しては通常の3倍以上の給与を支払う(第63条)。
- 時間外労働、休日労働、休日時間外労働の各手当の算出方法は、月額給与を30で割り、さらに1日の平均労働時間で割った金額を1時間あたりの賃金として計算する(第68条)。
- 雇用者または雇用、報償付与、解雇の権限を有する管理監督者の場合、時間外労働、休日労働、休日時間外労働の各手当の支給は義務付けられていない(第65条、第66条)。
[雇用契約終了について]
雇用契約解除
- 期間の定めのない雇用契約の場合、雇用主または労働者は最終賃金支払い日の3カ月前から一賃金支払い日前までの間に書面にて雇用契約の解除を告知しなければならない。この場合、試用期間も期間の定めのない雇用契約とみなす(第17条第2項)。
- 事前告知により雇用契約を解除する場合、雇用主は契約終了日までの賃金を支払うことにより直ちに解雇することができる(第17条第3項)。
- 事前告知なく雇用契約を解除する場合、雇用主は労働者に対して勤務最終日から雇用契約の解除が有効となる日までの期間の賃金を勤務最終日に支払う(2019年改正法第7版第17/1条)。
解雇補償金
- 雇用主が労働者を解雇する場合、または雇用主が事業継続できず、労働者が賃金を得られなくなった場合、勤続年数に応じて以下の解雇補償金を支払わなければならない(第118条第1項、第2項)。
- 2017年改正法第6版により、雇用契約または就業規則等に基づく定年退職の場合も解雇とみなし、解雇補償金の支払義務がある旨が明文化された(第118/1条)。
- 2019年改正法第7版により、解雇補償金は勤続年数が10年以上20年未満で最終賃金の300日分以上、20年以上で最終賃金の400日分以上となった。
勤続年数 | 補償金 |
120日未満 | なし |
120日以上1年未満 | 最終賃金の30日分以上 |
1年以上3年未満 | 最終賃金の90日分以上 |
3年以上6年未満 | 最終賃金の180日分以上 |
6年以上10年未満 | 最終賃金の240日分以上 |
10年以上20年未満 | 最終賃金の300日分以上 |
20年以上 | 最終賃金の400日分以上 |
解雇補償金の支払い対象外となるケース
- 以下の非違行為があった場合、雇用主は労働者に対して解雇補償金を支払う必要はない(第119条)。
(1)不正または雇用主に対して故意に刑事上の犯罪を犯した場合
(2)故意に雇用主に損害を与えた場合
(3)過失により雇用主に重大な損害を与えた場合
(4)就業規則または雇用主の合法かつ公正な命令に違反し、雇用主が書面で警告を行った場合(重大な場合は警告書が不要。警告書の有効期限は1年間)
(5)正当な理由なく連続3日間(間に休日を挟む場合も含む)職務放棄した場合
(6)最終判決で懲役刑を科された場合(過失による犯罪、軽犯罪の場合は使用者に損害を与えた場合)
試用期間
- 期間に関する規定はないが、勤続日数が120日を超える場合は解雇補償金の支払い義務が発生するため、実務上は119日以内で定めるケースが多い。
定年退職
- 定年退職の年齢を定める規定はないが、55歳から60歳の間で定めるケースが多い。
- 雇用契約または就業規則等で定年退職年齢に関する定めがない場合、または定年退職年齢が60歳を超えた年齢に定められている場合、満60歳に達した労働者は30日前までに定年退職の意思を表明することで退職するができるとともに、雇用主は解雇補償金を支払う必要がある(第118/1条第2項)。
- 第118/1条の新設に伴って、雇用契約または就業規則等で定年退職年齢の定めがある場合はそれが適用されるが、定めがない場合は60歳が定年退職の目安となるであろう。
特別解雇補償金
(1)事業所移転(2019年改正法第7版)
- 事業所を新たな場所または別の事業所に移転する場合、事業所移転日の30日以上前に労働者に対して告知しなければならないが(第120条第1項)、雇用主がが事前に告知しなかった場合、新たな事業所での勤務を希望しない労働者に対して事前告知に代わる特別解雇補償金として最終賃金の30日分の賃金を支払う(第120条第2項)。
- 事業所移転により労働者またはその家族の生活に支障が出る場合、労働者は告知日または事業所移転日(事前告知を行わなかった場合)から30日以内に書面で雇用主に通知しなければならない。この場合、事業所移転日に雇用契約が終了したものとみなし、雇用主は第118条の定める解雇補償金以上の金額を特別解雇補償金として支払う(第120条第3項)。
- 雇用主は事前告知に代わる特別解雇補償金または特別解雇補償金を雇用契約終了日から7日以内に支払う(第120条第4項)。
(2)整理解雇
- 使用者が整理解雇をする必要が生じた場合、使用者は解雇日の60日前までに労働監督官および解雇対象者に対して解雇日、解雇理由、解雇者リストを告知しなければならない(第121条第1項)。
- 使用者が事前告知をしない、または第1項に定める期間までに告知をしない場合、使用者は第118条に定める解雇補償金に加えて最終賃金の60日分を事前告知に代わる特別解雇補償金として支払わなければならない(第121条第2項)。
- 第121条に基づいて解雇する労働者が勤続6年以上の場合、第118条の解雇補償金に加えて満1年につき15日分の特別解雇補償金を支払う。ただし、本条の解雇補償金の合計金額は最終賃金の360日分を超えない範囲とする(第122条第1項)。
- 勤続年数が1年未満の場合、180日を超えていれば勤続1年として計算する(第122条第2項)。
採用面接支援「HCi-AS」(ヒューマンキャピタル研究所)
採用面接時に応募者をより良く理解する目的でヒューマンキャピタル研究所(東京都千代田区、梶山桂社長)が開発した採用面接支援「HCi-AS」。人材の業績につながる力(1・目標追求力、2・対人力、3・主体性)を診断することにより、本当に企業で必要な人材か否かを報告書としてお送りします。

特徴
1.応募者の人間性や個性を診断!
数値化ではなく人間性を大切にする記述文型式。
面接で見極めようとするのは、ランキングや偏差値情報ではありません。
より生き生きとした対象者の「人間性」であったり「個性」です。
報告書ではその個性を充分読み取れるように、平易な記述文を中心に構成してあります。
2.短時間でのフィードバックを可能に!
独自の診断手法により、検査時間・報告時間を短縮する事に成功しました。検査時間は約10分。診断結果は約30分でお返しします。
そのため、多くの企業で面接の前の補足資料として使われるケースが圧倒的です。
3.こころのトラブルの予見
メンタルヘルスに関してのチェックは、短時間の面接ではきわめて難しいとされています。
報告書では、対象者がストレスに対してもろいのか、強いのか、また注意が必要なケースでは記述文で補足説明をしてあります。
4.入社後、どの仕事に向くかを助言
報告書では採用後の適性配置予測として6つの職務領域を表示しました。
当然、どの分野でも活躍が期待できる人材は、バランスがよく、高い表示となります。
どんな人材にも個性をフル発揮してもらうためには、適材適所に配属されることが理想です。
5.結果の妥当性が80%!
適性検査業者の平均的な妥当性が45〜60%(10人が受検したら4〜6人は当たっているという解釈)であるのに対して、HCi-ASは80%。特に年齢の若い方(20歳代から30歳代まで)で高い妥当性があるとの報告があります。
活用方法
面接時の捕足ツールとして
短時間フィードバックのため、面接官が事前に読むことができます。
個人個人にあった面接の質問を準備することも可能です。
メンタルチェック
最近のストレス社会では、心のトラブルに陥る比率が増加していると言われます。
報告書のメンタルヘルス情報から、事前に何らかの傾向を押さえることで、問題を最小限に留めることが可能です。
合わせて適性配置を確認すれば、本人の志向からストレス負荷の少ない環境に就けられます。
入社後の適正配置や育成に利用
この適性検査では課題処理パターン、適正配置予測、戦力化予測、育成指導のポイントといった分析が出ますので、入社後の適正配置や育成の参考資料として利用ができます。
※導入企業数は日本が約2500社、中国が約700社。
※最近では、従業員100〜500名規模の中堅企業で組織分析資料のひとつとして利用されるケースも増えてきています。
料金
- 初期費用、月額固定費は一切かかりません。
- 利用実績に応じて課金しますので、利用がない場合、請求はありません。
- 利用料は1名につき800バーツ。
- 診断結果報告書の言語を追加する場合は1言語につき160バーツとなります(診断結果報告書は日本語、タイ語、英語から選択可)。例えば、日本語とタイ語をご希望の場合、合計金額は1名につき800+160=960バーツとなります。
- 付加価値税(VAT)は別途。
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