外国人を配偶者に持つタイ人の土地取得

 外国人を配偶者に持つタイ人(内縁関係を含む)は、「特有財産」(สินส่วนตัว、婚姻済みの場合)または「個人財産」(ทรัพย์ส่วนตัว、内縁関係の場合)として土地を取得することが可能です。土地の広さに制限はありません。これは「1999年(仏暦2542年)3月23日付内務省緊急通達 Mor Thor 0710/Wor 792」に基づいた措置で、それ以前、外国人を配偶者に持つタイ人は土地を購入することができませんでした。

 ただし、所有権移転登記手続きを行うにあたって一定の条件があります。詳細は以下の通りです。

受贈による取得の場合

 所有権移転登記時における審査において、タイ人が特有財産または個人財産として土地を取得することが認められる場合、登記官は登記手続きを行います。

購入による取得の場合

 婚姻済みの場合、タイ人と外国人配偶者は登記手続き日に登記官の面前において「土地購入資金すべてはタイ人の特有財産であり、婚姻財産ではない」旨を書面にて共同で宣誓する必要があります。

 一方、内縁関係の場合、タイ人と外国人配偶者は登記手続き日に登記官の面前において「土地購入資金すべてはタイ人の個人財産であり、共同で取得した財産ではない」旨を書面にて共同で宣誓します。

民商法第1471条
特有財産は以下の通りとする。
(1)夫婦の一方が婚姻前から有するもの
(2)個人の使用品、衣服、身分に応じた装飾品、職業上必要な使用品
(3)夫婦の一方が婚姻中に相続または遺贈により取得したもの
(4)婚約により取得したもの

民商法第1474条
婚姻財産は以下の通りとする。
(1)夫婦が婚姻中に取得したもの
(2)夫婦の一方が婚姻中に遺言または贈与の指定により婚姻財産として取得したもの
(3)特有財産から生じた経済的利益
財産のいずれかが婚姻財産であるか不明な場合は婚姻財産と推定する。

 外国人配偶者が登記手続き日に土地局に出頭できない場合、上記の内容を記した宣誓書を土地局に提出します。また、外国人配偶者が外国にいる場合、当該国のタイ大使館で宣誓書の認証を受けた上で土地局に提出することになります。

 なお、上述の宣誓において登記官は申請者の職業、収入、資金の出所を審査する必要はないとされています(2000年5月25日付土地局通達 Mor Thor 0710/Wor 16051)。

 一方、土地購入資金すべてがタイ人の特有財産または個人財産であることを証明できる場合、タイ人と外国人配偶者による宣誓は不要となります(2004年11月3日付土地局通達 Mor Thor 0515/Wor 33259)。

 上記の条件、必要書類等は登記手続きを行う土地局(または登記官)によって異なる場合がありますので、必ず事前に確認してください。特に地方の土地局では2021年時点においても外国人を配偶者に持つタイ人は土地を取得できないとして登記を受け付けない場合があるようですので注意が必要です。

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