タイ土地家屋税の概要
2019年3月に施行された土地家屋税法は、2020年から経過規定第94条の軽減税率(法施行当初2年間に適用)が適用される予定でしたが、2020年と2021年はコロナ禍における負担軽減策として90%の減免措置が実施されていました。
2022年以降については2021年12月7日の閣議であらためて経過規定第94条の適用が承認され、2022年と2023年は同条の軽減税率を適用し、2024年以降は財務省があらためて検討することになっています。
ここでは、あらためて土地家屋税法の概要を紹介したいと思います。なお、税率適用年は土地家屋税法上で定められた年表記となっていますのでご留意ください。
課税対象不動産
- 農業用土地または家屋(個人所有、個人所有以外)
- 居住用土地または家屋(個人所有の土地および家屋、個人所有の家屋、それ以外の土地または家屋)
- 農業用、居住用以外の土地または家屋
- 不使用または用途外使用の土地または家屋
税額計算方法
土地・家屋評価額 − 課税対象控除額=課税対象額
課税対象額×税率=土地・家屋税額
税率
【農業用】
(1)個人所有の土地または家屋
課税対象額 | 税率 |
2020~2022年(第96条経過規定) | |
すべて | 0% |
2023年~ | |
5,000万バーツ以下 | 0%(第40条) |
5,000万バーツ超 | 0.15%以下(第37条) |
(2)個人所有以外の土地または家屋
2020~2021年(第94条経過規定) | |
7,500万バーツ以下 | 0.01%以下 |
7,500万バーツ超〜1億バーツ以下 | 0.03%以下 |
1億バーツ超〜5億バーツ以下 | 0.05%以下 |
5億バーツ超〜10億バーツ以下 | 0.07%以下 |
10億バーツ超 | 0.1%以下 |
2022年~ | |
すべて | 0.15%以下(第37条) |
【居住用】
(1)土地および家屋を所有する個人(1月1日時点でタビアンバーンに登録)
2020~2021年(第94条経過規定) | |
5,000万バーツ以下 | 0% |
5,000万バーツ超〜7,500万バーツ以下 | 0.03%以下 |
7,500万バーツ超〜1億バーツ以下 | 0.05%以下 |
1億バーツ超 | 0.1%以下 |
2022年~ | |
5,000万バーツ以下 | 0%(第41条) |
5,000万バーツ超 | 0.3%以下(第37条) |
(2)家屋のみ所有する個人(1月1日時点でタビアンバーンに登録)
2020~2021年(第94条経過規定) | |
1,000万バーツ以下 | 0% |
1,000万バーツ超~5,000万バーツ以下 | 0.02%以下 |
5,000万バーツ超~7,500万バーツ以下 | 0.03%以下 |
7,500万バーツ超~1億バーツ以下 | 0.05%以下 |
1億バーツ超 | 0.1%以下 |
2022年~ | |
1,000万バーツ以下 | 0%(第41条) |
1,000万バーツ超 | 0.3%以下(第37条) |
(3)1および2以外の土地または家屋(2軒目以降の住宅等)
2020~2021年(第94条経過規定) | |
5,000万バーツ以下 | 0.02%以下 |
5,000万バーツ超~7,500万バーツ以下 | 0.03%以下 |
7,500万バーツ超~1億バーツ以下 | 0.05%以下 |
1億バーツ超 | 0.1%以下 |
2022年~ | |
すべて | 0.3%以下(第37条) |
【農業用および住居用以外の土地または家屋(商業用等)】
2020~2021年(第94条経過規定) | |
5,000万バーツ以下 | 0.3%以下 |
5,000万バーツ超~2億バーツ以下 | 0.4%以下 |
2億バーツ超~10億バーツ以下 | 0.5%以下 |
10億バーツ超~50億バーツ以下 | 0.6%以下 |
50億バーツ超 | 0.7%以下 |
2022年~ | |
すべて | 1.2%以下(第37条) |
【不使用または用途外使用の土地または家屋】
2020~2021年(第94条経過規定) | |
5,000万バーツ以下 | 0.3%以下 |
5,000万バーツ超〜2億バーツ以下 | 0.4%以下 |
2億バーツ超~10億バーツ以下 | 0.5%以下 |
10億バーツ超~50億バーツ以下 | 0.6%以下 |
50億バーツ超 | 0.7%以下 |
2022年~ | |
すべて | 1.2%以下(第37条) |
(参考条文)
第35条
本法に基づいて算定する課税対象額は土地または家屋の総価額とする。
土地または家屋の価額は次の原則に基づいて算定する。
(1)土地は土地評価額を使用する。
(2)家屋は家屋評価額を使用する。
(3)コンドミニアムはコンドミニアム評価額を使用する。
評価額のない土地または家屋は省令に定める原則、方法、条件に基づいて価額を算定する。
土地評価額、家屋評価額、コンドミニアム評価額は、土地法に定める登記費徴収を目的とする不動産評価額に基づく。これは県評価額算定小委員会が定め、評価額算定委員会が承認したものとする。
第37条
土地または家屋の税率は次の通りとする。
(1)農業用の土地または家屋は課税対象額の0.15%以下とする。
(2)居住用の土地または家屋は課税対象額の0.3%以下とする。
(3)1または2以外の用途の土地または家屋は課税対象額の1.2%以下とする。
(4)不使用または用途外使用の土地または家屋は課税対象額の1.2%以下とする。
(第2~4項略)
第1項に基づく税率は勅令により定める。税率は一律または土地または家屋の価額に応じて複数の率とする。ただし、第1項に定める税率を超えてはならない。用途別または用途の条件別に定めることができる。
(第6~8項略)
第38条
土地または家屋が複数の用途に使用されている場合、地方自治体は財務大臣および内務大臣が告示する原則および方法に基づいて土地または家屋の用途比率に応じて徴税する。
第40条
個人所有者が農業用に使用する土地または家屋は、地方自治体内に所有する土地または家屋の合計に対する課税対象額のうち5,000万バーツ以下を課税計算において控除する。
第41条
個人所有者が居住用として使用し、国民登録法に基づいてタビアンバーンに課税対象年の1月1日時点において氏名が登録されている土地およびは家屋は、課税対象額のうち5,000万バーツ以下を控除する。
個人が家屋のみを所有し、土地を所有していない場合において、当該家屋を居住用として使用し、国民登録法に基づいてタビアンバーンに課税対象年の1月1日時点において氏名が登録されている場合、課税対象額のうち1,000万バーツ以下を控除する。
第42条
課税計算方法は、第35条に基づく土地または家屋の課税対象額から第40条または第41条の課税控除額を控除し、第37条の税率、第38条の比率をかけて算出された結果を納付すべき税額とする。