法定利率および遅延損害金の改定

 「2021年民商法改正に関する緊急勅令」により民商法に定められている法定利率および遅延損害金が改定されました(2021年4月11日施行)。

 具体的には、利率が定められていない債権に対する法定利率は年利7.5%から同3%(第7条)へ、また遅延損害金(遅延利息)は同7.5%から第7条の利率+2%=同5%(第224条)へそれぞれ引き下げられました。

 今回の利率改定は1925年の民商法改正以来95年ぶりの改定となります。また、コロナ禍における経済状況により緊急を要するものとして緊急勅令の形で改正されましたが、今後は財務省が3年に1回、見直しを検討し、利率の改定が必要な場合は勅令の形で改正されていくことになります。

 合わせて、第224/1条を新設し、分割弁済の場合における遅延損害金は履行遅滞となった元金に対してのみ遅延損害金を課すことを明文化しました。従来は履行遅滞となっていない元金も含めて債務全体に遅延損害金を課すケースも多く、債務者に過大な負担となっていました。

2564年(2021年)民商法改正に関する緊急勅令

第7条

 利息を支払う必要がある場合において、法律行為または法律の条文に明確に利率が定められていないときは年利3%を適用する。

 前項の利率は国内の経済状況に応じて勅令により改定するものとし、財務省は3年ごとに検証し、商業銀行の預金金利と貸出金利間の平均利率に近い利率を定める。

第224条

 債務の履行を遅滞したときの利息は第7条に定める利息に年利2%を加えたものとする。債権者が法律に基づくその他の事由によって当該利率より高い利息を要求したときはそれに基づいて利息を支払う。

 履行を遅滞している間の利息は重複して計算してはならない。

 利息以外の損害金を証明することは可能とする。

第224/1条

 債務者が分割で債務を弁済する場合において、いずれかの弁済期の履行を遅滞したとき、債権者は債務者が遅滞した弁済期の元金に対してのみ利息を請求することができる。

 前項の定めに抵触する合意は無効とする。