タイ老齢年金の仕組み

 今回は前回の社会保険に引き続き、社会保険のなかの老齢年金について解説します。

 タイの老齢年金には次の2種類があります。

  • 老齢一時金
  • 老齢年金

 違いは社会保険料を支払った月数が180カ月(15年)に達しているか否かです。180カ月連続している必要はありません。それ以外の条件としては「被保険者の資格喪失済みであるか」と「満55歳に達しているか(または心身障害、死亡)」があり、どちらも共通です。

 そして、180カ月未満の場合は一時金が一括で支給される「老齢一時金」、180カ月以上の場合は年金が毎月支給される「老齢年金」となります。どちらかを選択できる仕組みにはなっていません。

老齢一時金

 老齢一時金として支給される金額は次のいずれかとなります。

  1. 保険料支払い月数が12カ月以上180カ月未満の場合=自己負担分+会社負担分+運用益分の合計額を一時金として受け取ることが可能です。運用益分は毎年パーセンテージが異なります。
  2. 同12カ月未満の場合=自己負担分のみ。

 例えば、(1)のケースで保険料を60カ月(5年)支払った場合、月給を15,000バーツで計算すると、老齢年金は15,000バーツの3%ですので月450バーツ×60カ月=27,000バーツ。会社も同額の27,000バーツで合計54,000バーツ。これに運用益分が加算された金額が老齢一時金となります。

 一方、(2)の場合は保険料450バーツを11カ月拠出していれば450バーツ×11カ月=4,950バーツとなります。

 外国人であったとしても条件を満たしていれば受給が可能です。55歳時点でタイに居住していない場合、在籍していた会社に通知が届く場合が多いですので、会社に手続きを代行してもらうことになるでしょう。しかし、日本の親会社を退職した等の理由で本人に連絡がつかない場合は手続きができません。

 なお、駐在員の場合は従業員拠出分も会社が負担している場合が多いため、会社によっては会社のものとみなす場合があります。しかし、老齢一時金は基本的に被保険者本人のタイ国内の銀行口座への振込になりますので、本人が一旦受給した上で会社に戻すという手続きが必要になります。

 また、55歳時点で本人が死亡している場合、手続きが面倒になります。基本的には相続人が遺産として受け取ることになりますが、本人の死亡証明書、相続人であることが証明できる書類、遺産分割協議書などが必要になります(社会保険事務所によって必要書類が異なる場合がありますので、最寄りの事務所に照会ください)。これらはすべて日本の書類ですのでタイの公的機関に提出する場合は英訳文を公証役場等で認証する必要があります(書類によっては在タイ日本大使館で発行可能)。


老齢年金

 一方、老齢年金として支給される金額(月額)は次の(1)と(2)の合計金額となります。

  1. 保険料支払い月数180カ月分=資格喪失前60カ月の平均給与額(上限15,000バーツ)の20%
  2. 同180カ月を超える分=12カ月(1年)ごとに1.5%を上乗せ

 例えば、保険料支払い月が200カ月の場合、以下の計算となります(月給を15,000バーツで計算)。

  1. 180カ月については15,000バーツ×20%=3,000バーツ。
  2. 残り20カ月については12カ月分がプラス1.5%(8カ月分は切り捨て)で15,000バーツ×1.5%=225バーツ。

 つまり、合計で3, 225バーツ(=15,000バーツ×21.5%)となります。

 あるいは、保険料支払い月が240カ月(20年)の場合、(180+60)カ月ですので20%+7.5%(=1.5%×5年)=27.5%となり、月額年金額は4,125バーツです。

※老齢年金、老齢一時金の金額は実際に受給できる金額と異なる場合がありますので目安の金額としてご参照ください。

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