LTRビザの資格要件(2025年改定)
富裕外国人を対象とする長期滞在ビザ(Long-term resident visa:LTRビザ)の資格、規則、条件に関する投資委員会(BOI)告示が2022年8月11日付で官報に告示されましたので、あらためてLTRビザに関する内務省告示(2022年6月2日官報告示)、LTRビザ保有者の就労許可に関する労働省告示(2022年6月9日官報告示)と合わせて概要をまとめました。なお、オンライン申請の方法等、追加で発表があり次第、情報を更新する予定です。
(Update-01)
LTRビザの申請要件緩和案が2025年1月13日の閣議で承認されました。主な内容は以下の通りです。
- Wealthy Global Citizenの過去2年間の年8万ドル以上の収入要件の廃止
- Work From Thailand Professionalの外国雇用主の過去3年間の売上要件を1億5000万ドルから5000万ドルに緩和
- 帯同者要件に両親、法的扶養の子の追加及び人数制限の廃止
(Update-02)
LTRビザの資格・規則・条件に関する投資委員会(BOI)告示(2025年2月4日付)が2025年3月25日付で官報に告示されました。申請要件を一部緩和する内容で、改定箇所は本文中に記載してありますのでご参照ください。
LTRビザ概要
- LTRビザの対象者は以下の4グループ
① 高所得者(Wealthy Global Citizen)
② 富裕退職者(Wealthy Pensioner)
③ タイ居住リモートワーク専門家(Work-From-Thailand Professional)
④ 高度専門家(High-Skilled Professional)
- 配偶者および20歳以下の子は合計4人まで帯同可
- オンラインで資格証明書を申請(オンライン申請ができない場合はBOI、在外タイ大使館または領事館等に申請)
- 資格証明書を取得後60日以内に在外タイ大使館または領事館、入国管理事務所にLTRビザを申請
- 在留期間は最長10年
- 初回申請時に最長5年の在留許可を発給
- 5年後の更新時にはあらためて資格証明書を申請し、BOIから資格証明書を取得後、入国管理事務所にて最長5年の更新を申請
- 発給手数料は5万バーツ(一回払い)
- 1年ごとに居住地報告を行うこと
- LTRビザ取得後、就労を希望する者は外国人就労管理法に基づいて労働許可証の申請可
- LTRから他のビザに切り替え可
資格要件
① 高所得者(Wealthy Global Citizen)(LTR "W")
- 以下のいずれかまたは複数に該当する、50万米ドル以上のタイ国内への投資(申請者名義であること)
(a) 財務省発行のタイ国債(申請日において償還日まで5年以上の残存期間があること)
(b) 株式会社または公開株式会社への直接投資、ベンチャーキャピタルへの出資、タイ証券取引委員会に登録または関係機関の認可を受けている未公開株(Private Equity Trust)への出資のいずれか
(c) 不動産 年平均8万米ドル以上の個人所得(申請日前2年間)(2025年2月4日付BOI告示にて削除)- タイ国内外合計で100万米ドル以上の資産(価額を評価できるもの)
- タイ国内の治療費5万米ドル以上を保障する医療保険(資格証明書発行日において10カ月以上の保険期間があること)、タイ国内の治療費を保障する社会保険、タイ国内または国外に10万米ドル以上の銀行預金(申請日前12カ月以上の預け入れ期間)のいずれかを有すること
② 富裕退職者(Wealthy Pensioner)(LTR "P")
- 申請日において50歳以上かつ退職者であること
- 以下のいずれかの申請者名義の投資および/または個人所得を有すること
(1)年8万米ドル以上の年金および/または個人所得
(2)年4万米ドル以上8万米ドル未満の年金および/または個人所得、かつ以下のいずれかまたは複数に該当する25万米ドル以上の申請者名義の投資
(a) 財務省発行のタイ国債(申請日において償還日まで5年以上の残存期間があること)
(b) 株式会社もしくは公開株式会社への直接投資、ベンチャーキャピタルへの出資、タイ証券取引委員会に登録または関係機関の認可を受けている未公開株(Private Equity Trust)への出資のいずれか
(c) 不動産 - タイ国内の治療費5万米ドル以上を保障する医療保険(資格証明書発行日において10カ月以上の保険期間があること)、タイ国内の治療費を保障する社会保険、タイ国内または国外に10万米ドル以上の銀行預金(申請日前12カ月以上の預け入れ期間)のいずれかを有すること
③ タイ居住リモートワーク専門家(Work-From-Thailand Professional)(LTR "T")
- 以下のいずれかの個人所得を有すること
(1)年平均8万米ドル以上の個人所得(申請日前2年間)
(2)修士以上の修了者、知的所有権の保有者、Series Aの資金調達を受けた者は年平均4万米ドル以上の個人所得(申請日前2年間) - 外国の雇用主との就労証明を有し、かつ雇用主は以下の条件を満たすこと
(1)いずれかの国の株式市場に上場する企業であること
(2)創業3年以上、かつ申請日前3年間で5,000万米ドル1億5,000万米ドル以上の売上があること (2025年2月4日付BOI告示にて改定)
(3)上記 (1) または (2) が株主である子会社 (2025年2月4日付BOI告示にて追加) 申請日前10年間において関連分野の業務経験を5年以上有すること(2025年2月4日付BOI告示にて削除)- タイ国内の治療費5万米ドル以上を保障する医療保険(資格証明書発行日において10カ月以上の保険期間があること)、タイ国内の治療費を保障する社会保険、タイ国内または国外に10万米ドル以上の銀行預金(申請日前12カ月以上の預け入れ期間)のいずれかを有すること
④ 高度専門家(High-Skilled Professional)(LTR "H")
- タイ国内での雇用契約、タイ国内事業に対するサービス契約、タイ国外事業に対するサービス契約のいずれかを有すること(タイ国内での就労を委任されていること)、またはタイ国内の高等教育機関、研究機関、専門研修機関、政府機関での就労証明を有すること。ただし、以下のターゲット産業に属する事業での就労とする。
(1)次世代自動車産業
(2)エレクトロニクス産業
(3)高級観光産業
(4)農業・食品・バイオテクノロジー産業
(5)運輸・物流産業
(6)自動化システム・ロボット産業
(7) 航空・航空機・宇宙産業
(8)バイオ燃料・バイオ化学産業
(9)化学品・石油化学産業
(10)デジタル産業
(11)医療産業
(12)防衛産業
(13)循環経済(Circular Economy)支援産業(直接かつ主要事業であること。例:廃棄物燃料生産、水資源管理運営等)
(14)国際ビジネスセンター(IBC)
(15)以下のいずれかにおいて外国人が特別の専門性に基づいて就労する必要のあるその他の産業
1)ターゲット産業またはターゲット技術の研究開発(バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、先端材料テクノロジー、デジタルテクノロジー)
2)職業教育または高等教育レベルの教師
3)AI技術、自動化システム、事業用ロボットの応用
4)生産およびサービスのレベル向上を目的とするデジテルシステムに関する計画策定および開発
5)金融またはマーケティングに関するサービス提供またはコンサルティング
6)環境およびエネルギーに関するマネジメント
7)インキュベーションプログラム、アクセレーションプログラムのマネジメントまたはコンサルティング、発明およびスタートアップエコシステム支援
8)裁判外紛争解決サービス
9)外国商工会議所・外国貿易投資促進機関による経済・貿易・投資の促進・開発支援 - 以下のいずれかの個人所得を有すること
(1)年平均8万米ドル以上の個人所得(申請日前2年間)
(2)科学技術分野(またはタイ国内で就労する業務分野の知識経験を有すること)の修士(またはそれに準ずる)以上の修了証明を有する場合、年平均4万米ドル以上の個人所得(申請日前2年間)。定年退職済みの科学技術分野の専門家は、年平均4万米ドル以上の個人所得(退職前2年間)とする。
(3)政府の高等教育機関、研究機関、専門研修機関、政府機関で就労する場合、所得証明を免除する。 - 過去10年間においてターゲット産業での業務経験を5年以上有すること。ただし、政府の高等教育機関、研究機関、専門研修機関、政府機関で就労する場合、または博士(またはそれに準ずる)以上の修了者は免除する。
- タイ国内の治療費5万米ドル以上を保障する医療保険(資格証明書発行日において10カ月以上の保険期間があること)、タイ国内の治療費を保障する社会保険、タイ国内または国外に10万米ドル以上の銀行預金(申請日前12カ月以上の預け入れ期間)のいずれかを有すること
帯同者(LTR "O")
- 申請者の配偶者、両親、20歳以下の嫡出子、申請者に法的に扶養される者であること (2025年2月4日付BOI告示にて改定)
- タイ国内の治療費5万米ドル以上を保障する医療保険(資格証明書発行日において10カ月以上の保険期間があること)、タイ国内の治療費を保障する社会保険、申請書名義または帯同者名義でタイ国内または国外に一人につき25,000米ドル以上の銀行預金(申請日前12カ月以上の預け入れ期間)のいずれかを有すること
LTRビザ保有者の就労許可
- 労働許可証を申請すれば、許可証の取得を待たずに就労可
- 労働許可の期間
(1) 雇用主の下で就労する場合、雇用契約に基づく期間(最長5年)とし、さらに雇用契約に基づいて更新可(最長5年)
(2) 雇用主がいずに就労する場合、申請者が申請した期間(最長5年)とし、さらに申請に基づいて更新可(最長5年) - LTRビザの期限が切れた場合は労働許可も終了
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