タイ老齢年金の仕組み

(Update)
年金支給に関する省令(第2版)が2022年4月29日付で官報に告示され、老齢年金受給者が受給開始後60カ月以内に死亡した場合、未受給分(60カ月から受給済み月を引いた月数)が遺族に支給されることになりました。

 タイの老齢手当には次の2種類があります。

  • 老齢一時金
  • 老齢年金

 違いは社会保険料を納付した月数が180カ月(15年)に達しているか否かです。180カ月間、連続している必要はありません。それ以外の条件としては「被保険者の資格喪失済みであるか」と「満55歳に達しているか(または心身障害、死亡)」があり、どちらも共通です。

 そして、180カ月未満の場合は一時金が一括で支給される「老齢一時金」、180カ月以上の場合は年金が毎月支給される「老齢年金」となります。どちらかを選択できる仕組みにはなっていません。

老齢一時金

 老齢一時金として支給される金額は次のいずれかとなります。

  1. 保険料支払い月数が12カ月以上180カ月未満の場合=自己負担分+会社負担分+運用益分の合計額を一時金として受け取ることが可能です。運用益分は毎年パーセンテージが異なります。
  2. 同12カ月未満の場合=自己負担分のみ。

 例えば、(1)のケースで保険料を60カ月(5年)支払った場合、月給を15,000バーツで計算すると、老齢年金は15,000バーツの3%ですので月450バーツ×60カ月=27,000バーツ。会社も同額の27,000バーツで合計54,000バーツ。これに運用益分が加算された金額が老齢一時金となります。

 一方、(2)の場合は保険料450バーツを11カ月拠出していれば450バーツ×11カ月=4,950バーツとなります。

老齢年金

 老齢年金として支給される金額(月額)は次の(1)と(2)の合計金額となります。

  1. 保険料支払い月数180カ月分=資格喪失前60カ月の平均給与額(上限15,000バーツ)の20%
  2. 同180カ月を超える分=12カ月(1年)ごとに1.5%を上乗せ

 例えば、保険料支払い月が200カ月の場合、以下の計算となります(月給を15,000バーツで計算)。

  1. 180カ月については15,000バーツ×20%=3,000バーツ。
  2. 残り20カ月については12カ月分がプラス1.5%(8カ月分は切り捨て)で15,000バーツ×1.5%=225バーツ。

 つまり、合計で3, 225バーツ(=15,000バーツ×21.5%)となります。

 あるいは、保険料支払い月が240カ月(20年)の場合、(180+60)カ月ですので20%+7.5%(=1.5%×5年)=27.5%となり、月額年金額は4,125バーツです。

 なお、老齢年金受給開始後、60カ月以内に死亡した場合、60カ月から受給済み月数を引いた未受給月数分が一時金として遺族に支給されます(2022年4月改定。従来は最終月額の10倍)。

 例えば、月額5,250バーツの年金受給者が受給開始20カ月後に死亡した場合、一時金の額は従来は5,250 × 10=52,500バーツでしたが、改定後は5,250 × (60−20) =210,000バーツとなります。

※老齢年金、老齢一時金の金額は実際に受給できる金額と異なる場合がありますので目安の金額としてご参照ください。

外国人の年金受給

 外国人の被保険者も条件を満たしていれば老齢一時金または老齢年金を受給することが可能です。ただし、上述の通り老齢一時金と老齢年金のいずれかを選択することはできません。