タイ社会保険の仕組み

(Update)
社会保険の給付金の改定案が2020年12月22日の閣議で承認され、2021年1月から適用されます(2021年1月改定)。改正点は文中に記載しています。

 毎月、給与から5%が天引きされる社会保険。加入時に指定した病院1カ所だけでしかサービスを受けられない等、健康保険が使えないことでは知られていますが、意外とその詳細については知られていないようです。そこで今回は社会保険の概要を解説します。

被保険者の種類

  タイの社会保険は加入者の種類によって以下の3種類がありますが、ここでは一般の労働者が加入する第33条被保険者について説明します。

  1. 第33条被保険者(事業所で雇用されている労働者)
  2. 第39条被保険者(事業所退職後に任意継続加入)
  3. 第40条被保険者(自営業、フリーランス等が加入)

加入年齢

 第33条被保険者の加入年齢は満15歳以上60歳未満となります。
 なお、満60歳に達した後も労働者として継続雇用される場合、第33条被保険者として社会保険の利用が可能です。

保険料

 保険料は月給に対して5%を労使双方が拠出しますので、毎月10%が社会保険基金に組み込まれます(プラス政府も2.75%を拠出)。ただし、月給の上限が15,000バーツとなりますので保険料の最高額は750バーツ、労使合計で1,500バーツです。日本人の場合、ビザ、ワークパーミットの取得要件として月給は5万バーツ以上であることがほとんどですので、必然的に社員が拠出する保険料は750バーツとなります。

 では、保険料5%の内訳はどうなっているでしょうか。社会保険と一口にいっても「健康保険」(傷病、出産、心身障害、障害、死亡)、「雇用(失業)保険」、「老齢年金」の3種類に分かれていて、保険料率は次のようになります。

 従業員雇用主政府
健康保険1.5%1.5%1.5%
雇用(失業)保険0.5%0.5%0.25%
老齢年金・育児手当3%3%1%
合計5%5%2.75%

 なお、外国人であっても社会保険への加入および保険料の支払い義務は発生しますが、取締役として登記されている場合は適用除外となり、加入義務はありません。

健康保険

 健康保険では傷病治療費以外に以下のような手当があります。

出産手当」(過去15カ月に5カ月以上保険料を支払っていること)

  • 出産一時金=1回につき15,000バーツ(回数制限なし)(2021年1月改定)
  • 妊婦検診費用=5回合計1,500バーツ(2021年1月改定)
  • 産休手当=平均給与の50%を90日分(2回まで)

死亡手当」(過去6カ月に1カ月以上保険料を支払っていること)

  • 葬祭料=50,000バーツ(2020年6月改定)
  • 死亡見舞金=保険料支払い月が36カ月以上120カ月未満の場合は平均給与の2カ月分、同120カ月以上の場合は平均給与の6カ月分

心身障害手当」(過去15カ月に3カ月以上保険料を支払っていること)

  • 重症の場合=給与の50%を終身で支給
  • 治療費、病院への交通費(月額上限500バーツ)を負担
  • 同手当受給者が死亡した場合は死亡手当(葬儀代、死亡見舞金)を支給

育児手当」(過去36カ月に12カ月以上保険料を支払っていること)

  • 子供が満6歳になるまで1人につき月額800バーツ(1回につき3人まで)(2021年1月改定)

 なお、治療費、出産手当、死亡手当、心身障害手当については、退職日(資格喪失日)から6カ月間は受給する権利があります(育児手当は対象外)。つまり、退職後であっても半年以内であれば健康保険の利用または各種手当の請求が可能となっています。

雇用保険

 雇用保険では8日以上の失業状態にある場合に失業手当が支給されます。

失業手当」(過去15カ月に6カ月以上保険料を支払っていること)

  • 会社都合による退職(非違行為による解雇を除く)=平均給与(上限15,000バーツ)の50%を180日分
  • 自己都合退職=平均給与(上限15,000バーツ)の30%を90日分

第39条被保険者

 第39条被保険者は、第33条被保険者であった者で事業所を退職後も継続して社会保険の利用を希望する者が対象となりまる。加入条件は、第33条被保険者として12カ月以上保険料を納付していること、退職後6カ月以内に手続きを行うことです。

 保険料は月額432バーツ。傷病、出産、心身障害、死亡、育児、老齢の各手当を受給可能です(雇用保険は対象外)。