タイ労働者保護法の「賃金」とは?
労働者保護法第118条に定める解雇補償金は勤続年数に応じて「賃金」の何日分と定められているが、この「賃金」の解釈が法廷で争われるケースは多い。
「賃金」は同法第5条において以下のように定められている。
「賃金」とは、雇用主と労働者が雇用契約に基づいて通常の就業時間(時間、日、週、月、その他の期間等)に応じて、または労働者が労働日の通常の就業時間において遂行した労働の成果により計算して支払うことに合意した、労働の対価としての金銭をいう。また、労働者は労働していないが本法において受け取る権利を有する、雇用主が労働者に支払う休日分および休暇分の金銭を含む。
つまり、「賃金」とは通常の就業時間に働いた労働に対する対価である。このため、時間外労働手当、休日労働手当、休日時間外労働手当は賃金に含まれない。
一般的には賃金=基本給と解釈されることが多いが、基本給以外に支給される手当等が名称の如何を問わず、毎月、定額で支払われている場合、それが労働の対価とみなされれば賃金となる。労働の対価かどうかはその実態によって個別に判断されるため一律的に判定できないが、役職手当は賃金だと解釈されている。また、交通費、通信費等、毎月定額で支給されることの多い手当も賃金とみなされることが多い。
一方、福利厚生費は労働の対価ではないため、基本的には賃金とはみなされないが、支給実態によって判断される。