タイ国内居住者の国外源泉所得に対する課税原則
Zero Asia（Update）
国税局命令 Por. 162/2566（2023年11月20日付）
国税局は2023年11月20日付で「国税局命令 Por. 162/2566」を告示し、2023年９月15日付で告示した「国税局命令 Por. 161/2566」の第１条に第２項「第1項の定めは2024年1月１日以前に生じた課税所得に適用しない。」を追加しました。
つまり、2023年までに生じた課税所得を2024年以降にタイ国内に持ち込んでも課税されず、2024年以降に生じた国外源泉所得が対象となります。
国税局命令 Por. 161/2566（2023年９月15日付）
国税局は2023年９月15日付で「国税局命令 Por. 161/2566」を告示しました。
これは国税局職員に対する国税法第41条第2項の運用基準を定めたものですが、従来はタイ国内居住者がタイ国外で得た所得（国外源泉所得）は当該所得が生じた年度と同じ年にタイ国内に持ち込んだ場合にのみ課税されていた基準を「タイ国内に持ち込んだ年を問わない」に変更するもので、大きな変更と言えます。
以下は国税局が一般向けに作成したQ&Aマニュアルをもとにまとめたものです。ご参照ください。
なお、個別具体的な事例については税務の専門家にご確認ください。
原則
対象者
（１）タイ国内に180日以上居住する税年度に国外源泉所得のある者
（２）当該税年度またはそれ以後の税年度にタイ国内に当該所得を持ち込んだ者
の双方に該当する者
課税年度
当該所得をタイ国内に持ち込んだ税年度の課税所得に算入する。
適用開始日
2024年１月１日以降に生じた国外源泉所得をタイ国内に持ち込んだ場合に適用する。
タイ国内居住者とは
当該税年度に居住日数が連続した期間か複数の期間かにかかわらず180日以上居住した者で、国籍を問わない。
国外源泉所得の範囲
国税法第40条（１）から（８）に定めるすべての所得。ただし、相続税や贈与税の非課税枠等、免税措置が適用されるものについては国外源泉所得にも適用される。
（１）給与、賃金、手当、賞与、年金等
国税法
（２）請負等からの収入等
（３）のれん代、著作権料等
（４）利息、配当、利益分配金、仮想通貨の譲渡益、企業合併等から生じる利益、株式譲渡益等
（５）賃料収入、割賦販売契約等の違約金等
（６）専門家の所得
（７）請負から生じる所得
（８）事業、商業、農業、工業等からの所得
2023年以前に生じた国外源泉所得を2024年にタイ国内に持ち込んだ場合
タイ国内に180日以上居住した税年度に国外源泉所得が生じ、2024年１月１日以降にタイ国内に持ち込んだ場合、2024年の課税所得として2025年３月末日までに税務申告する。
2023年に生じた国外源泉所得を2023年内にタイ国内に持ち込んだ場合
2023年にタイ国内に180日以上居住した場合、2023年の課税所得として2024年３月末日までに税務申告する。
タイ国内に180日未満居住した税年度に生じた国外源泉所得をタイ国内に持ち込んだ場合
納税義務はなし
タイ国内に持ち込んだ国外源泉所得についてすでに国外で納税している場合
国外源泉所得の生じた税年度にタイ国内居住者であった場合、タイと当該国間の租税条約に基づいて、タイ国内に国外源泉所得を持ち込んだ税年度において当該国で納付した所得税をタイ国内で支払うべき所得税から控除することできる。
（参照条文）
国税局命令 Por. 161/2566
第１条
国税法第41条第３項に定めるタイ国内居住者は、国税法第41条第２項に定める国外での就労もしくは事業、または国外にある財産により当該税年度において第40条に定める課税所得があり、かついずれかの税年度に当該所得をタイ国内に持ち込んだ場合、国税法第48条に基づいて当該所得をタイ国内に持ち込んだ税年度の課税所得に算入する。（2023年11月20日付国税局命令 Por. 162/2566にて追加）
国税局命令 Por. 161/2566、Por. 162/2566
第1項の定めは2024年1月１日以前に生じた課税所得に適用しない。
第２条
本命令に抵触するすべての規則、規定、命令、相談回答文書、手続きは廃止する。
第３条
本命令は2024年１月１日以降にタイ国内に持ち込んだ課税所得に適用する。
国税法
第41条
第２項
国外での就労もしくは事業、または国外にある財産により、過年度において第40条に定める課税所得のあるタイ国内居住者は、タイ国内に当該所得を持ち込んだとき、本款の定めに基づいて所得税を支払う。
第３項
いずれかの税年度においてタイ国内に一期間または複数の期間の合計で180日以上居住する者はタイ国内居住者とみなす。
国税法
