株主総会招集通知の電磁的方法による公告、株価鑑定人選任に関する省令案を閣議承認

 民商法改正第23版(2022年11月8日官報告示、2023年2月7日施行)に伴って新たに導入された ① 無記名式株券の発行会社を対象とする株主総会招集通知の電磁的方法による公告、② 会社合併に反対する株主と株式売買価格で合意できない場合における株価鑑定人の選任に関する2省令案が2024年2月6日の閣議で承認されました。

株主総会招集通知の電磁的方法による公告

 従来、株主総会招集通知は新聞公告1回および配達記録郵便による郵送が義務付けられていましたが、民商法改正第23版の施行により記名式株券のみを発行する会社は配達記録郵便による郵送(または手渡しも可)のみでよくなりました(ただし、定款変更が必要)。

 一方、無記名式株券を発行する会社は従来通りの新聞公告または電磁的方法による公告のいずれかの方法を選択することができるようになりましたが、電磁的方法による公告に関する省令はこれまで告示されていませんでした。

第1175条
 株主総会招集通知は株主名簿に記載の株主全員に株主総会開催日の7日前までに配達記録郵便で郵送する。無記名式株券を発行する会社は、総会開催日の7日前までに地域の新聞に1回以上公告するか、省令に定める原則・方法に基づいて電磁的方法で公告する。特別決議を行う株主総会の招集通知は総会開催日の14日前までに行う。

民商法改正第23版
電磁的方法による公告の要件

 今回閣議で承認された省令案の主な内容は以下の通りです。

  • 広く一般に周知でき、かつ所有者を確認できるウェブサイト(周知方法や使用方法の利便性、公平性を考慮すること)または事業開発局長が定めるウェブサイトを通じて公告すること
  • 株主総会の開催場所、日時、事業状況、特別決議の場合は議案内容を明記すること
  • 電磁的方法による公告開始日から株主総会開催日まで掲示すること

株価鑑定人の選任

 民商法改正第23版では会社合併に関する定めが大きく変わりましたが、会社合併の特別決議において合併に反対する株主がいる場合の対応についても定められました。この場合、会社は以下の手順で手続きを進めます。

  1. 株式の買取人を手配し、両者が合意した価格で売買する
  2. 株式売買価格で合意できない場合、株価鑑定人を選任し、売買価格を定める
  3. 合併反対株主が買取提案日から14日以内に株式を売却しない場合、合併手続きを進め、当該株主は合併会社の株主になる

第1239/1条
 合併に関する特別決議があった場合において、合併に反対する株主のあるとき、会社は当該株主の保有する株式の買取人を手配しなければならない。買取価格は合意した価格、または合意できない場合は鑑定人の定める価格とする。当該株主が買取り提案のあった日から14日以内に売却しない場合、会社は合併手続きを進めることができ、当該株主は合併会社の株主となる。
 第1項の株価鑑定人の選任は省令に定める原則・方法・条件に基づく。

民商法改正第23版
鑑定人の要件

 省令案によると、会社は以下の要件を満たす者から鑑定人を選任することができます。

  • 公認会計士
  • 司法裁判所に登録された財産評価に関する調停人
  • 司法裁判所に登録された財産評価に関する専門家
  • 証券取引委員会の承認を得た財産評価鑑定会社または主鑑定人
  • 証券取引委員会の承認を得たファイナンシャルアドバイザーまたは業務監督人
  • タイ独立価格鑑定人協会またはタイ財産評価鑑定人協会に登録された上級鑑定人