タイ女性呼称法
タイでは文書や公式な場面で個人名を記載したり、呼ぶ場合、英語の「Mr.」「Mrs. 」「Miss」に該当する呼称を名前の前に付けることが定められています。
それまでさまざまな呼び方をされていた呼称を統一するため、1917年に「仏暦2460年女性呼称勅令」、1922年に「仏暦2464年児童呼称勅令」(のちに廃止)を定めたのが最初だと言われています。この女性呼称勅令で未婚女性の呼称は「ナーンサーオ」、既婚女性の呼称は「ナーン」と定められました。
しかし、時代の変化とともに社会生活に不都合が生じる場面も多くなったため、2008年に「仏暦2551年女性呼称法」が施行され、結婚後も本人の希望により「ナーン」または「ナーンサーオ」のいずれかを使用できるように定められました。
これは2003年に「仏暦2505年(1962年)姓名法」第12条(妻は夫の姓を称する)が憲法違反とされたため、2005年に法改正により選択的夫婦別姓が導入されたのに続くもので、男女平等を定めた「仏暦2540年(1997年)憲法」第30条(当時)に基づくものです。
主な呼称
- 15歳以上の男性=ナーイ(นาย)
- 15歳以上の未婚の女性=ナーンサーオ(นางสาว)
- 既婚の女性=ナーン(นาง)またはナーンサーオ(นางสาว)
- 既婚の女性が離婚した場合=ナーン(นาง)またはナーンサーオ(นางสาว)
- 15歳未満の男児=デックチャーイ(เด็กชาย)
- 15歳未満の女児=デックイン(เด็กหญิง)
その他の呼称
- 位階を有する女性=クンイン(คุณหญิง)、ターンプーイン(ท่านผู้หญิง)、クン(คุณ)
- 軍人または警察官の階級を有する公務員=それぞれの階級
- 僧侶=プラ(พระ)
- 僧位を有する僧侶=それぞれの僧位
- 少年層=サーマネーン(สามเณร)
女性呼称法
第4条
満15歳以上かつ未婚の女性は「ナーンサーオ」の呼称を使用する。第5条
婚姻した女性は希望に応じて「ナーン」または「ナーンサーオ」の呼称を使用し、家族登録に関する法律に則って登記官に申告する。第6条
婚姻した女性が婚姻を終了する場合、希望に応じて「ナーン」または「ナーンサーオ」の呼称を使用し、家族登録に関する法律に則って登記官に申告する。
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