住宅賃貸借契約に関する告示(2025年改訂)

 住宅用賃貸借契約に関する規則「仏暦2568年(2025年)住宅賃貸事業の契約管理事業指定に関する契約委員会告示」(2025年5月30日付委員会告示)が2025年6月6日付で官報に告示されました。これは2020年1月施行(2019年10月委員会告示)の告示を改訂したもので、適用は官報告示日から90日経過後。

主な変更点

  • 同告示の対象となる住宅賃貸事業者を賃貸物件5ユニット以上から3ユニット以上に拡大
  • 住宅賃貸事業を短期賃貸借(3年以下)と長期賃貸借(3年超30年以下)の2種にわけて定義
  • 電子的方法を通じた賃貸事業を定義
  • 標準契約書(ひな型)を作成

契約書の書式等に関する規定

  • 鮮明かつ確実に読むことのできるタイ語の内容を有すること
  • 文字の大きさは2ミリ以上、かつ、1インチ内に11文字以下
  • 標準契約書に定める重要事項および条件を記載すること
  • 内容が同一の契約書を2部作成し、署名後ただちに1部を借主に引き渡すこと

電子的方法による賃貸借契約

  • 電子取引法の定めに基づいて、鮮明かつ確実に読むことのできるタイ語の内容を有し、かつ、標準契約書に定める重要事項および条件を記載すること
  • 電子取引法の定めに基づいて、内容が同一の契約書を2部作成し、署名後ただちに1部を借主に引き渡すこと
  • デジタルプラットフォーム提供者が電子的方法による賃貸借契約を仲介する場合、同告示に定める内容および民商法の代理に関する定めを同提供者にも適用する

契約書に記載する事項(標準契約書)

  • 事業者(貸主)、消費者(借主)の名称・住所等
  • 物件の所在地、現況、財産・各種設備の詳細(第1条)
  • 契約期間(第2条)
  • 家賃額、支払い期日、支払い方法(現金、銀行口座への振り込み、小切手、キャッシャーズチェック、クレジットカード・デビットカード等)(第3条)
  • 公共料金(電気代、水道代、電話・インターネット代等)の額、支払い期日、計算方法、支払い方法(第4条)
  • 公共料金の額はサービス提供者によって契約満了前に増減する可能性がある。(第5条)
  • サービス提供にかかる費用の内容、額(実費)、計算方法、支払い期限、支払い方法(第6条)
  • 保証金、前払い家賃の額、支払い方法(第7条)
  • 事業者は家賃、支払い期限、光熱費、サービス提供にかかる費用を記載した請求書を家賃支払い期限の3日前までに借主に送付する。(第8条)
  • 事業者は住宅および設備に関する現況調査報告書を作成して賃貸借契約書に添付し、1部を消費者に引き渡す。(第9条)
  • 契約が満了したとき、事業者はただちに消費者に保証金を返金する。ただし、消費者が負担すべき損害について事業者が調査を希望する場合を除く。(第10条)
  • (損害のないとき)事業者は契約が満了し、かつ物件の明け渡しが完了した日から7日以内に保証金を返金する。消費者が指定した方法に基づく返金費用は事業者が負担する。
  • (損害のあるとき)事業者は住宅、設備等に対する損害の修復費用を保証金から控除する権利を有する。ただし、通常使用、通常使用による劣化、消費者の責めに帰さないその他の事由、消費者が社会通念上要求される程度の注意を払ったとしても回避することのできない不可抗力から生じる損害は除く。事業者が保証金から費用を控除する場合、契約が満了し、かつ物件の明け渡しが完了した日から14日以内に保証金を返金する。消費者が指定した方法に基づく返金費用は事業者が負担する。
  • 消費者は賃借する住宅、財産、設備等を善良な管理者が自己の財産を保全するのと同程度に保全する義務を負い、善良な管理者として管理および軽度の補修を行う。ただし、消費者は通常使用、通常使用による劣化、消費者の責めに帰さない事由、不可抗力から生じる住宅、財産、設備等に対する損害または故障の責任を負わない。(第11条)
  • 事業者は契約期間中に生じた賃貸する住宅、財産、設備等の故障において必要となるすべての補修を行う。ただし、消費者が負う軽度の補修を除く。(第12条第1項)
  • 消費者は事業者に対して事前に当該故障の補修を通知する義務を負い、事業者が適切な期間内に補修を行わない場合において、当該故障により消費者が賃借物件を使用、収益できない程度のものであるとき、消費者は契約を解除する権利を有する。(第12条第2項)
  • 賃貸借契約が有期契約の場合において、消費者が当該契約期間の半分を超えて居住しているとき、消費者は契約満了前に契約を解除することができる。この場合、消費者は30日前までに事業者に書面で通知し、かつ家賃、その他の費用の滞納がない場合とする。(第13条第1項)
  • 消費者が契約満了前に契約を解除し、事業者が消費者から将来の居住用に家賃、その他の費用を事前に受領しているとき、事業者は消費者が契約解除を通知した日から7日以内に当該金銭を返金する。(第13条第2項)
  • 事業者が消費者に対して書面受領日から30日以内に契約の履行を求める通知を書面で行い、かつ消費者が当該通知に従わない場合、事業者は契約を解除することができる。(第14条第1項)
  • 消費者の行為が他の入居者の平穏な居住に直接影響を与える場合において、事業者が消費者に対して書面受領日から7日以内に契約の履行を求める通知を書面で行い、かつ消費者が当該通知に従わないとき、事業者は契約を解除することができる。(第14条第2項)
  • 消費者が公序良俗に関する法令に従わない場合、事業者は事前に通知することなく契約を解除することができる。(第14条第3項)
(長期契約の場合)

長期賃貸借契約の場合、賃借権登記に関する条文が第3条に追加されます。

  • 消費者および事業者は民商法に基づいて物件の所在地を管轄する土地事務所にて賃借権を登記する。(第3条 3.1)
  • 賃借権登記にかかる登記費、印紙税、その他の費用について合意のない場合、各当事者が半分ずつ負担する。(第3条 3.2)

契約書に記載不可の条項

  • 事業者による契約の重要事項に対する違反または不法行為における責任を正当な理由なく免除または制限する条項
  • 事業者が保証金および前払い家賃を合わせて月額家賃の3カ月分を超えて徴収できる条項(長期賃貸借契約の場合において、保証金および前払い家賃を合わせて年額家賃の1年分を超えて徴収できる条項)
  • 事業者が契約満了前に賃料およびサービス提供に関する費用を変更できる条項
  • 借主に違反のない状況において、事業者が保証金または前払い家賃を没収できる条項
  • 事業者または代理人が借主の事前の許可なく立ち入り調査を行うことを定める条項(ただし、事業者または他の借主に損害または影響を与える緊急の場合を除く)
  • 電気事業者および水道事業者が事業者から徴収する金額を超えて事業者が電気代および水道代を定める条項
  • 事業者が法律に基づいて契約解除の権利を行使していない状況において、借主の立ち入りを妨害する、または借主の財産の差し押さえもしくは運び出しができる条項
  • 事業者が同一の借主から契約更新料を徴収できる条項
  • 借主に契約の重要事項に対する違反がない状況において、事業者が契約解除を行うことができる条項
  • 通常の使用から生じる住宅の財産および各種設備への損害を借主に負担させる条項
  • 借主の責めに帰さない事由または不可抗力の事由における住宅、財産、各種設備への損害を借主に負担させる条項
  • 使用から生じる、または通常の使用による劣化から生じる住宅、財産、各種設備の故障を借主に負担させる条項