駐在員事務所代表者の労働許可証の取得免除範囲

 外国人がタイで就労するには労働許可証の取得が義務付けられていますが、「2017年外国人就労管理に関する勅令(2018年第2版)」第4条第8項において「外国人事業法に基づいて事業許可を取得している外国法人の代表者」は適用除外と定められました。このため、外国法人の駐在員事務所の代表者(所長)は労働許可証の取得が免除されると解釈され、実際そのように運用されてきました。

 しかし、労働省職業斡旋局法務部はこのほど、労働許可証の取得が免除されるのは「外国人事業法に基づいて事業許可を取得している外国法人」であり、「外国人事業法に基づいて事業許可を取得していない外国法人」は適用除外とはならない、つまり労働許可証の取得が義務付けられる、との見解を示しました。

 これはどういうことかというと、駐在員事務所はもともと、事業許可の取得が設立許可要件でしたが、「2017年外国人事業許可を免除するサービス業に関する商務省令」(第3版)により事業許可の取得が不要となったため、同省令の施行後に設立された駐在員事務所は事業許可を取得していませんが(引き続き事業許可の取得が必要となる事業を除く)、それ以前に設立された駐在員事務所は事業許可を保有したままとなっており、事業許可を取得している事務所と取得していない事務所が並存する形となっています。

 そして、これまでは事業許可を取得していない駐在員事務所の代表者に対しても労働許可証の取得が免除されていましたが、今回の見解によって適用除外の対象が本来の字義通りの範囲に限定され、事業許可を取得していない駐在員事務所の代表者は労働許可証の取得の適用除外とはならないということになり、労働許可証発給の担当部門も見解に沿った形で運用するようになりました。