酒類の広告規制とSNS投稿
ビールやウィスキー等の酒類が写った写真のSNSへの投稿が酒類に関する広告を規制する「仏暦2551年酒類管理法」第32条に違反するかどうかがネット上で騒がれることがありますが、保健省疾病管理局はこれに対する見解を公表しています(2020年6月12日付)。
疾病管理局の説明によると、第32条の趣旨は次の2点です。
- 商業上の利益を目的とした広告の禁止(販売や販促キャンペーンを目的とした投稿等)
- 効用の誇大表示、または酒類の写真もしくはマークの掲示とともに第三者に飲酒を推奨するような内容の掲示もしくは行為の禁止
このため、一般市民が酒類のビンやロゴ入りグラスの写真等をSNSに投稿したとしてもただちに違法とはならない、と説明しています。これまで、芸能人や有名人等のインフルエンサーが酒類の写真およびコメントをSNSに投稿したことで警察当局から出頭命令を受けることがありましたが、これはフォロワー数も多く社会的な影響力が大きいため、酒類への関心を広く喚起し、飲酒を推奨することにつながる、というのがその理由だとしています。
従って、基本的には芸能人等と一般市民には社会的影響力に違いがあるため、一律に法律を適用することはないようですが、一方で飲酒を勧めるような内容でない限りは違法ではないとしていますので、裏を返せば飲酒を勧めるような内容と判断された場合は違法となる可能性もあると言えます。
ただし、今後解釈の仕方に変更があったり、担当官によって解釈に幅がある、といったこともありますのでご留意ください。
なお、疾病管理局は現在、法改正に向けて手続きを進めているところですが、原案通りに施行されれば広告規制がより強化される見通しです。酒類に関する写真投稿やツイート等が禁止されることはないようですが、投稿の仕方によっては法に触れる場合もありますので注意が必要です。
仏暦2551年酒類管理法
第32条
効用を誇大表示し、または直接もしくは間接に他の者に対して飲酒を推奨する、酒類の広告または酒類の名称もしくはマークの表示を禁止する。
酒類製造者による広告または広報は、社会をよりよくするための情報および知識の提供のみとし、酒類の商品または容器の画像を掲示してはならない。ただし、省令の定めに則って酒類のイメージ画像または酒類製造者の会社イメージ画像を掲示する場合を除く。
第1項および第2項の定めはタイ国外を起源とする広告には適用しない。第43条
第32条に違反した者は、1年以下の懲役もしくは50万バーツ以下の罰金、またはその併科とする。
第1項に定める罰則に加えて、違反している期間または適切に遂行するまでの間、1日につき5万バーツ以下の罰金を科する。