電子タバコ禁止の適用法令
タイでは電子タバコの輸入、販売、所持が法律で禁止されていますが、実際には街中で販売されており、また、使用している人を見かけることも多いでしょう。しかし、使用または所持を警察官にみつかり賄賂を要求されたという例も起こっています。ここでは、どのような法令により電子タバコが禁止されているのかを紹介したいと思います。
結論から言うと川上から川下まで包括的に電子タバコを禁止する法律があるわけではありません。以下のように輸入、販売・サービス提供、所持が別個の法令により禁止されています。
輸入
まず、電子タバコの輸入が仏暦2557年(2014年)商務省告示「シーシャ、電子シーシャまたは電子タバコの輸入禁制品指定」(2014年12月27日施行)により禁止されました。そして、この指定に伴い仏暦2522年(1979年)輸出入法により違反者を罰することになりました。
仏暦2557年(2014年)商務省告示「シーシャ、電子シーシャまたは電子タバコの輸入禁制品指定」
第4条
シーシャ、電子シーシャまたは電子タバコを輸入禁制品に指定する。
シーシャ、電子シーシャまたは電子タバコの吸引を目的として煙または水蒸気を生じるさせる成分、抽出物等で、第1項の物品とともに使用することを目的として同時に輸入されたものも輸入禁制品に指定する。
仏暦2522年(1979年)輸出入法
第20条第1項
第5条(1)(輸出入禁制品の指定)に定める禁制品を輸出入した者、または第7条(禁制品の輸出入禁止)に違反した者は、10年以下の懲役もしくは輸出入品の5倍の額の罰金、またはその併科とする。また、物品および物品の収納・運送に使用したものも没収する。
販売、サービス提供
続いて、消費者保護の観点から消費者保護委員会命令 9/2558「シーシャ、電子シーシャまたは電子タバコ、シーシャ用薬分、電子シーシャまたは電子タバコ用リキッドの販売、サービス提供禁止」(2015年1月28日施行)によりタイ国内での販売およびサービス提供も禁止されました。
消費者保護委員会命令 9/2558「シーシャ、電子シーシャまたは電子タバコ、シーシャ用薬分、電子シーシャまたは電子タバコ用リキッドの販売、サービス提供禁止」
第2条
シーシャ、電子シーシャまたは電子タバコ、シーシャ用薬分、電子シーシャまたは電子タバコ用リキッドの販売を禁止する。この場合、金銭的報酬またはその他の利益の獲得を目的とする賃貸、割賦販売、調達、またはそれらの提案もしくは説明も含む。
第3条
シーシャ、電子シーシャまたは電子タバコ、シーシャ用薬分、電子シーシャまたは電子タバコ用リキッドのサービス提供を禁止する。この場合、金銭的報酬またはその他の利益の獲得を目的とする業務受託、権利付与、財産もしくは事業の使用または利益供与も含む。
消費者保護法改正第4版
第29/9条第2項
安全委員会が試験または分析の結果、当該物品が危険、かつ第30条またはその他の法律に定める表示規定によっても危険を防止できないと判断した場合、または当該サービスが危険と判断した場合、安全委員会は、事業者に対して製造販売、輸入または発注、販売、サービス提供の禁止を命令し、物品またはサービスの修正、改変、物品破棄、輸入元国への返送を命じる。
第56/4条
第29/8条第2項または第29/9条第2項に定める安全委員会の命令を履行しない事業者は、3年以下の懲役もしくは60万バーツ以下の罰金、またはその併科とする。
所持
一方、所持については所持禁止を直接定めた法律は現時点ではありませんが、電子タバコが輸入禁制品であるためその所持も当然に違法であるとして、違反者には仏暦2560年(2017年)関税法(2017年5月17日官報告示、11月13日施行)が適用されることが多いようです。
仏暦2560年(2017年)関税法
第242条
通関手続きを経ないで輸出入した者、または税関職員の許可なく輸送機関、倉庫、港湾等から物品を搬送した者は、10年以下の懲役もしくは物品価格(および関税)の4倍の額の罰金、またはその併科とし、判決により有罪となる者がいるか否かにかかわらず当該物品を没収する。
第246条第1項
第242条に定める違反を知りながら物品の隠匿補助、販売補助、移送補助、購入、質入れ、収受した者は、懲役5年以下の懲役もしくは物品価格(および関税)の4倍の額の罰金、またはその併科とする。