タイ相続Q&A

Q)相続手続きはどのようにすればよいですか?

A)相続執行者の選任手続きを裁判所に申請し、裁判所から選任された相続執行者が銀行(口座解約)や土地局(相続登記)等の関係機関で相続手続きを行います。

Q)裁判所での手続きは必ず必要ですか?

A)法律上は必須ではありませんが、銀行や土地局では裁判所発行の審判書を要求されますので、実務上は必須といってよいでしょう。

Q)相続人が日本にいる場合、タイに行って手続きをしなければならないのですか?

A)代理人に委任すれば来タイされなくても可能です。ただし、相続執行者は相続手続きに関するすべての権限を有することになるため、タイ人でも相続執行者と相続人との間でトラブルが生じることがありますので、弁護士等の信頼できる方に委任することをお勧めします。

 なお、裁判所や裁判官によっては相続手続きの申請人本人が裁判所に出廷して供述することを要求する場合があります。この場合、オンラインでの供述を裁判所に申請しますが、認められない場合は来タイして出廷する必要がありますので注意が必要です(2022年1月追記)。

Q)弁護士に依頼しなくても裁判は可能ですか?

A)弁護士に依頼しなくても可能ですが、裁判所に提出する申請書はすべてタイ語で記載する必要がある上、裁判もすべてタイ語で行われますので、依頼されたほうがよいでしょう。筆者の知る限り、タイ人も弁護士に依頼するケースがほとんどです。また、依頼される場合は相続に詳しい弁護士に委任されたほうが手続きがスムーズです。

Q)手続きにどのくらい時間がかかりますか?

A)6カ月は見ておいたほうがよいでしょう(相続に争いがない場合)。最も時間を要するのは申請から裁判期日までの期間で、手続きを申請する裁判所や申請時期によっても異なりますが、一般的には3カ月程度待つことになります。

Q)手続きにはどんな書類が必要になりますか?

A)ケースによって異なりますが、相続人であることを証明する書類、相続財産を特定する書類、遺言書(あれば)などです。

Q)日本の方式で作成された遺言書をタイの手続きで使うことは可能ですか?

A)可能です。

(参照法令)
(日本)遺言の方式の準拠法に関する法律
第二条(準拠法) 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。
一 行為地法
二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
三 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法
四 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法
五 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法

(タイ)法の抵触に関する法律
第40条 遺言者は本国法が定める方式、または遺言を作成する地の法律が定める方式により遺言を作成することができる。