タイ遺産相続(7)遺産相続執行者

 遺産相続執行者(ผู้จัดการมรดก)とは、被相続人の死後に遺言書や法定割合等に基づいて遺産分割手続きを執行する者をいい(民商法第1719条)、遺言書または裁判所による選任により指定します(同1711条)。また、複数の遺産相続執行者を指定することも可能です(同1715条)。この場合、単独で行うことはできず、多数決を原則とします(同1715条、同1726条)。

 遺産相続執行者は法的に必ず指定しなければならないものではありませんが、遺言書で遺産相続執行者を指定しておいたほうがスムーズな遺産分割手続きが可能となります。特に相続人間で争いが起きそうな場合は遺産分割の方法と合わせて指定しておいたほうがよいでしょう。指定がない場合は裁判所に遺産相続執行者の選任を申し立てることになります。申し立てができるのは法定相続人、遺言書による受遺者、利害関係人(債権者、内縁関係にある配偶者等)です。

 申し立てには以下の書類が必要となります。

  • 被相続人の身分証明書、住居登録証(タビアンバーン、ทะเบียนบ้าน)
  • 申立人の身分証明書、住居登録証(タビアンバーン、ทะเบียนบ้าน)
  • 死亡登録証(モラナバット、มรณบัตร)
  • 遺産リスト(土地権利書、銀行通帳等)
  • 相続人リスト
  • 相続人の同意書