タイ遺産相続(1)遺言状
タイの遺産相続では、遺産相続人として「遺言書による相続人」と「法定相続人」の2種類が規定されています(民商法第1603条)。
また、遺言書がある場合は遺言に基づいて行われ、遺言書がない場合、遺言書に法的効力が生じない場合、遺言書に記載のない遺産がある場合等は法定相続のルールに基づいて行われます(同第1620条、第1621条)。
つまり、遺産を自分の希望通りに相続させたい場合は法律の定めに則って正しく遺言書を作成しておく必要があります。
タイには遺言書の方式が次の5種類あります(同第1656条、第1657条、第1658条、第1660条、第1663条)。
- 普通遺言(自筆、印刷のどちらでもよいが、自署および証人2人が必要)
- 自筆証書遺言(すべてを自筆。証人は不要)
- 公正証書遺言(市役所、郡役所で作成。証人2名が必要)
- 秘密遺言(遺言書を作成して封印し、市役所、郡役所に届け出。証人2名が必要)
- 口述遺言(死亡間近、伝染病感染、戦争等の特別の事情がある場合に可能。証人2名が必要、かつ証人は市役所、郡役所に届け出)
遺言書の内容は、遺産相続以外にも葬式、未成年者に対する保護者の指定、遺産管理人の指定、相続廃除者の指定(日本と違い厳格な要件はなし)なども記載することができます。ただし、法に抵触すると解釈される部分は無効となります。